ユーザインタビュー
生きた英語から学生自身が教材を作り、楽しみながら学ぶ
明治大学 政治経済学部 ケヴィン・マーク(Kevin Mark)教授
明治大学の政経学部には、ACE(Advanced Communicative English)という先進的な英語カリキュラムがあります。ACEでは通常の授業のほか、演劇やプレゼン、ディスカッションを通じ、高度な英語能力を養うことを目的としているとのこと。このACEの授業で大きな役割を果たしているのが、FileMaker で開発された「LexiSuite」というソフトウェア群です。ACEの責任者で、LexiSuiteの開発も担当しているケヴィン・マーク(Kevin Mark)教授に、実際の授業風景を見せていただきました。
1. 学生達が自分で教材を作っていく面白さ
今回の授業のテーマはバングラディシュの生活や社会状況。この他には、学生達の日常を題材にすることも多いそうです。参加しているのは20名ほどの1〜2年生で、各人の机の上には、1台ずつパソコンが置かれています。
マーク教授の指示で、学生達は学内ネットからデータをダウンロードし始めました。学生達は前回の授業中、英語で書いた日記(150語×3日分)の宿題を提出しており、マーク教授はそれを添削して各学生に返しているのです。
次に、生徒自身があるソフトウェアに、添削された自分の日記の文章をコピー。本文中の単語をマーキングして、何かを作っているようです。プリントアウトしたものを見せてもらうと、空欄問題ができていました。
こうしてできたプリントを使い、席が隣り合った学生同士でお互いが作った問題を出し合っていきます。ちなみに、この授業でのコミュニケーションは、すべて英語です。英語教室の日本人学生というと消極的なイメージを思い浮かべがちですが、この授業ではみな物怖じせず楽しそうに英語を話しています。ACEは選択授業であるため、モティベーションの高い学生が集まってきているということもあるのでしょうが、授業の進め方にもさまざまな工夫が凝らされているようです。
例えば今回の授業についていえば、問題として使っている教材はもともと学生が自分で書いたもの。自分が語りたいと思った内容に対し、マーク教授がより上手な表現をアドバイス、それを元にして友人とコミュニケーションを深めるという流れになっています。
3年生になると、学生達はトピックを選んで英語でプレゼンテーションをおこなうとのこと。こうしたプレゼンなどで使われたテキストも、将来の教材になっていくのです。
何人かの学生に授業の感想を聞いてみました。
「自分の勉強したい教材が使えるのがいいですね。経済関連のWebサイトから文章をコピーして専門的な用語やフレーズを覚えたり、日常的な会話表現の勉強にも使っています。」
「私の場合は、特にディクテーション(書き取り)に役立てています。文章を聞いてキーボードを打ちますから、タイピングの練習にもなります。題材も、実際に話す時に使える表現が多いですね。ACEのメンバーとは授業以外でも英語で話すようになりました。」
2. コーパスを多面的に活用できるLexiSuite
ACEのカリキュラムで使われているLexiSuiteは、FileMaker Pro Advanced で開発された英語教育支援アプリケーションのセットです。
コンピュータを英語教育支援に使うという発想は以前からあり、最近でも携帯ゲーム機用のディクテーションソフトや、Web上の英語学習サイトが人気を博しています。しかし、LexiSuiteがこうしたソフトウェアやサービスと大きく異なるのは、学習者または、教員自身がさまざまな素材から教材を作成できること、そして作り出せる教材のバリエーションが非常に豊富だということでしょう。語学では文例資料をコーパスと言いますが、LexiSuiteは1つのコーパスをアイディア次第でいろいろな用途に活用できるのです。こうした大量のテキストデータを加工して管理、再利用するために、FileMaker の柔軟なデータベース機能が活用されています。
今回の授業を例に取ると、まず学生達はコーパスを管理するための「LexiSuite Passages」に文章をコピーして入力しました。このLexiSuite Passagesが管理しているコーパスを、他のソフトウェアで加工して教材を作ることになります。空欄問題は「LexiSpace」、選択問題なら「LexiList」、ディクテーション問題なら「LexiSound」がそれぞれ担当します。今回の授業では、LexiSpaceを使って選択問題を学生が作りましたが、教師側で音声データを吹き込んでディクテーションの授業をおこなったり、自習や、宿題課題として提出してもらうことも可能です。FileMaker は初期の頃からテキスト以外に音声や写真、動画などのデータを自由に扱うことができ、これがLexiSuiteの開発環境として採用された理由でもあります。
「先学期は、写真を見ながら学生同士で議論をし、たくさんの質問とそれに対するコメントが集まりました。それらを僕が書き直し、今学期ではディクテーションの教材として使っています。」(マーク教授)
ティーチングアシスタントの高野朋也氏は、学生達の「気づき」が多くなったように感じるそうです。
「この前の授業で、添削された文章から選択問題を作っている学生を見ていたところ、学習のキーとなる箇所を上手に問題化していました。普通に教科書を読んでいるより、学生自身でいろんな発見をしているのがわかります。」(高野氏)
そして、コーパスを柔軟に扱えるLexiSuiteは、教える側の工夫次第でいかようにも活用することが可能です。



